たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

男の子から見た「けいおん!」、女の子から見た「けいおん!」

WEB拍手より。

プリキュアの頃からお邪魔しています。リアルでけいおんの1話目を旦那と見ていたときに「けいおん?ケーハクな音楽」と冷めた目で興味もなさそうにケータイをいじっていました。(旦那はパンクロックのバンドをやっていました)
その彼が急にけいおんって何?といい始め(見た事も覚えて無い)けいおんを見まくる日が来ました。何がどうなったのかわからないけど「いいな、高校生の部活。澪いいな」と画面に向かってつぶやいています。けいおん、そのすさまじい魅力は逆に女にはわかりません。これはきっと青春スーツみたいなカンジでしょう。

ああー、なんかすごい旦那さんの気持ちが分かる気がする。勘違いでなければ。
 
作品の感想って、一概に「こうである」というものはありません。いいと思う人もいれば、あわないと思う人もいて当然。こうでなければいけないなんてものはないです。
しかし確かにネット上で見ていると、男性視点での感想と女性視点での感想は大きくぱっくり分かれている感じはしますね。
ちょっと自分語りを交えながら、「かつての男の子」から見た魅力についてと、女性が特に11話で共感を受けていた話を書いてみようと思います。
 

●「もっと練習しろよ!」●

バンド経験ある人なら、音楽アニメとして見た場合必ずといっていいほど突っ込むのは「軽音部、ちゃんと練習しろよ!」って事だと思います。
まあそうですよね。全然練習していませんもの。
なので、1、2話くらいで「音楽なめるな」と切ったバンド経験者は多いんじゃないかと思います。
 
しかし、話が進むにつれてそれぞれが実は練習をしていたことが暗に示され始めます。
でも絶対その「カゲで練習」のシーンは描かれません。唯だけは一応そのシーンがちょっと入り、憂にも「いつも練習している」という風に語られます。
練習量については「アニメだから」と音楽から切って離す人も多いと思います。それはそれで正しい見方だと思います。
 
逆に、音楽ものとしての視点で見れば、決してリアルではないけれども、ものすごい理想の状態でもあるんですよね。一部において。
自分も幾つかバンドを点々として、まあ今はやっていないんですが、「上手いバンドだけが楽しいか」と言われたら必ずしもそうじゃなかったわけです。もちろん上手いバンドは楽しいんだけれども。でもそれ以上に、もっと前にへたくそながらもわいわい楽しくやっていた頃がすっげー輝いていたりするわけですよ。思い出の中で。
聞く側としては、きっと楽しくないと思います。下手だし。
でも、やっている側は音を友人と合わせるだけで楽しくて仕方ない。だから「練習」じゃないんです。「遊び」なんです。苦労でも努力でもなんでもない、ただひたすらに楽しくて仕方ない瞬間があるわけです。
 
もっとも、そこから上手くなるためには一枚の壁を越えなければなりません。それは苦労することになるんですが、「けいおん!」ではその壁はまだ出てきていません。
むしろあずにゃんに合宿中教えてもらっていた唯の様子を見ると、その壁すらも「楽しい」に変わっていたと思うんです。
 
「バンド経験のある男の子」視点だと、その「楽しい!」が蘇ってきて仕方ないんじゃないかと思うんです。バンド内のいざこざとか、大人になって自然消滅とか、そういう嫌な記憶ではなくて、ただ楽器を鳴らしているだけで楽しかったあの日々ですよ。
個人的に名シーンの一つだと思っているのは、一回目の合宿で唯が花火をバックにギターもって跳ね回るシーン。

あれ端から見たらすげーむずがゆいわけです。青臭くて仕方ないわけです。
でも楽しいだろう!!!?
 
楽しいんだよ。
理論とか、バランスとか、そういう細かいことはどうでもよくて、ただもう楽しくて夢中で仕方ない瞬間があるんですよ。それがあるから、その後の苦しい練習や大変な事態もぐっとこらえて音楽をやり続けるんですよ。多少バカにされたり批判されたって、楽しいから続けられるんです。
まさにそれは唯の「楽しいよ!」という言葉そのものです。
 
自分にはそれがもう眩しくてなりませんでした。
やっぱり自分もバンド関連で、もう死ぬほどいやな目にあったこともあります。音楽楽しくない、って思う自分が悔しくて仕方なかったことなんて山ほどあります。上達しないし、人間関係はこじれるし、イライラも募るし。でもやっぱり好き。下手でもなんでも、好き。
楽しいんだもの。
 
みんなが指さして笑うようなことだって、楽しいんだから叫んでしまう。

「3年生までに武道館に行けるのか?」
行けるわけないですよ。そんなのみんな分かっているんです。
でもそうじゃない、そのくらい気持ちが盛り上がり楽しいというのが大事なんです。
もちろんこれを男の子がやって「音楽たのしー!」ってやっていても人気は出たと思います。「青春デンデケデケデケ」とか。あれでドラム初めて買って、「叩いていいんじゃろうか…」と震えていたシーンには泣いたなあ。
でも「憧れ」の側面としては、やはり女の子がはつらつと楽しそうに幸せを謳歌している図柄は強いです。
自分が漫画版・アニメ版ともに心捕まれたのは、その点です。
女の子が、自分にはつかめないような最高の幸せを楽しんでいる。
 
コメントで青春スーツと書かれていますが、まさにそれだと思います。
ハチクロ」では青春スーツは最初「恥ずかしい物」として書かれていました。実際恥ずかしいです。端から見た青臭いです。
でも、それに憧れる人を誰が責められようか。責められたって青春スーツ着ますとも。
責められたって、「みんなと笑いながらすごして、音楽をやる時間が楽しくて仕方ない」という気持ちにスイッチが入ったら、誰にも止められません。
 
この点については、あくまでも自分の考えなので全然違う人もいると思います。ただ、女の子よりも男の子の方が、そこにある「幸せ」がまばゆくて、うらやましくてたまらないのはあるんじゃないかな、と思ったりします。
 
ぶっちゃけ一行で言うと「楽器やっている女の子は眩しい」の一言に尽きるんですががが。
スウィングガールズ」とか「リンダリンダリンダ」とか。
「かわいい、仲良くなりたい!」って思う気持ちと「はたから見守りたい」って気持ちと「自分がこうなりたかった」という気持ちがサイクロンです。

 

●女の子ってめんどくさいから。●

自分は女性じゃないので、女性の方の意見をピックアップ。個人的にすごくいいなあと思った感想です。
女の子って本当にめんどくさい生き物です。(0324.com)

おそらくですが、誰しもが経験したであろう学生生活の中で、「ツンデレ」「お嬢様系」等々の一言では到底表せない、女の子の複雑な面を描いているからなんじゃないかなと思います。
だから観ている女の子たちは「共感できる」という感想を持てる。
私見ですが、女の子って本当にめんどくさい生き物です。
 
めちゃくちゃめんどくさい。
 
男の子たちが殴り合ってすっきり解決する出来事を、精神的発達が男性に比べて早いせいか、脳みそで考える。思春期の女の子たちの複雑なやり取りは、もしかしたら成長過程に組み込まれているのではないかと思うくらいです。
(もちろん、すべての子がそうなわけではないですよ!)

11話は賛否両論あったようですが、いろいろな意見がでるというのはそれだけ多くの人の心を揺さぶったということだから、やっぱり凄い。
で、「なぜああなったのかいまいち分からない」という声もいくつか見かけたんですが、それは男の子だったら仕方ないのかな、とも思いました。理由が全然明確じゃないんですよね。「ベースが壊れてケンカになったとかなら分かるのに」なんて意見もありました。きっと、自分も完全には分かり切れていないと思います。
みながそういうわけではないですが、男性は比較的「AだからB」という理由と感情を結びつけて納得するのかな、とは感じます。逆に言えば論理立てて考えることが出来るということですが。
しかし11話の律や澪に関しては、ひいては高校生女子においては、そういうモヤモヤがわけもわからずショートしてしまうことがどうしてもあります。
だから、共感とか理解というレベルまでいかなくても、女性にはあの二人のシーンはぐっとくるものがあったんじゃないかと。「百合」とかのレベルでもなく。一個人対一個人の世界の話です。
 
特に律は、最初は空気読まない暴走っ子でしたが、今まで回を重ねるにつれて、いかに軽音部メンツのことを考えているか、それぞれの子達の空気を読んでバランスを保っているかが分かるように描写されていました。練習はさぼるけれども、寝ていた部屋にドラム教本とスティックがあり、ちゃんと調律もしている…と描かれない努力の部分もチラ見えしていました。それが最後まで隠したままでもよかったのですが、風邪とかスイッチ入っちゃったのも相まって、弱まった時に出た本音。
「もうなんだか分からない!」と一番叫びたかったのは、たぶん律だったんじゃないかと思います。普段甘えてばかりだった澪が、それを分かっていたのが、これまたもうね。ほんと複雑。
むぎが「ドラムはりっちゃんじゃなきゃだめなんです!」って叫んだのも、色んなこと考えてしまいますね。
でも「これだ」という答えなんてないです。それぞれの女の子の、複雑な部分だから。むぎが叫んだ気持ちも、たぶん分かる人にはすげー分かると思うのです。

そういえば以前も取り上げましたが、こんなこと言ってましたね。
メガミマガジン掲載山田尚子監督インタビュー

・キャラデザ・総作画監督の堀口はキャラ同士の距離感にこだわって描いている。
・「女の子同士はこのくらいの距離だよね」
・キャラのテンプレ的に見られそうなところは、あえて自然体に持っていっている
(例:澪はツンデレっぽいが、女の子はそんな簡単なものじゃない!)
・最終的にこの子たちが新しいジャンルになればいい。
・ついこの間まで中学生だったので、垢抜けきらない自然さ、原石という感じを描きたかった。
・作品を観ている人たちが、本当にリアルに友達になりたいと思ってもらえるようにしたかった。
・高校生って洗練された体じゃない。胸は大きいけど、ほかは子供っぽいとか…そういうところが出ればいいなと思った。

まさに「簡単なものじゃない!」。
その複雑さを見て、特に男性はぎょっとして戸惑ってしまう事もあるでしょう。いたしかたなしです。
しかし、この11話やあずにゃんの回があったことで、「この子達と友達になりたい!」と思った女性は多いんじゃないかとふんでいます。誰が、じゃなくて「みんなと」。
お人形さんなキャラではなく、血の通った女の子になった瞬間でもあったのかな、と。
 

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けいおん!」の人気の炸裂っぷりには流石に驚きがあります。自分も相当入れ込みまくって夢中なので、その魔力はなんなのか気になっていたのですが、いただいたコメントがきっかけでちょっと整理できた気がします。ありがとうございます!
男女とも、やはりそこにある「幸せ」と「まぶしさ」に憧れる部分ありますよ。
大人目線で突っ込めば、山ほど突っ込めるところもまたあるとは思いますが…ここは彼女たちの泣いたり笑ったりしながら最高の幸せをつかんでいく様子を、その彼女たち視線で楽しみたいです。
 

だからきっと、さわちゃんは何も言わないんだと思ったり。考えすぎかもですけどね。
やっぱり彼女も、練習さぼりながらぐだぐだしたり、でも陰で練習するのが楽しかったり、ただ夢中になってギターかきならしつづけたり、メンバーと理由のないケンカをしたりしてきたからこそ…「いい加減にしろ!」の一言で済むような事態も彼女たちにまかせているんじゃないかなーなんて。
全部ひっくるめて「よしわかった、楽しみなさい」と。
…とか考えてたら、結構いい先生じゃない?半分妄想ですがー。
 
あと二回ですが、(最終回+番外編)どういう方向に転ぼうとも、自分は最後彼女たちが笑顔でいてくれればそれでもう十分です。

 
…本当は二期やってほしいけどナ!
二巻使い切ると思わなかったヨ!でもいっそここまできたらオリジナル展開のOVAとかも見たい気がします。
 

アマゾンからキャラCD発送メールきたー!…のであと二日くらい待ち。
Tシャツは、うーん…公式で「ロマンス」Tシャツ作ってくだしあ。