〜物が認識できなくなる時〜ゲシュタルト崩壊についてしらべてみた。
- たとえばこんな怖い話。
鏡に映った自分を見ながら『お前は誰だ』 と言ってみてください
家に姿見のような大きめの鏡がある方は一度試して貰いたい
鏡に映った自分を見ながら 『 お前は誰だ 』 と言ってみてください
いえ、お化けとか幽霊だとかそういう類のモノでは無いんです
鏡に映った自分の眼を見ながら 『 お前は誰だ 』 と言ってみてください
都市伝説的なものだと思うんですが、ドイツ軍の話が妙に生々しくて気になるうわさです。色々調べてみたんですがドイツ軍云々の真偽はしらべられませんでした。本当なのかなこれ?
はて、こういう自己暗示と精神崩壊の話自体読んでいてぞわぞわします。へたに霊とか絡むよりもよっぽどリアルで不気味なのは、自分達もすぐ崩壊するんだろうなあという漠然とした不安に日々とらわれているからかもしれません。
某スレより(URL紛失失礼)
68 名前:番組の途中ですが名無しです[sage] 投稿日:2006/10/18(水) 06:33:49
追記ですが先天的に全盲の人間が視力を取り戻した時に
映像として「自己」「他人」を区別する習慣が無い、「鏡」の概念がわからない為に
鏡を見ても「自分」が映らないと答えるケースが多いそうです。
73 名前:番組の途中ですが名無しです[sage] 投稿日:2006/10/18(水) 06:39:42視力取り戻してすぐに鏡を見せて、って意味じゃないですよ。
鏡に映ったモノが「自分」と認知できないどころか
本当に背景以外映らないと説明する人もいるそうですよ。
江戸川乱歩の「鏡地獄」を思い出しますね。鏡で出来た球体の中にいるとどうなってしまうのでしょう、何が見えてしまうのでしょう。そこで一生をすごしたら自分の姿はどう見えるんだろう。こわいこわい。
はて、心理学にあまり明るくない自分はこれの題名が「ゲシュタルト崩壊」なのが気になって仕方ありませんでした。だってドイツときてゲシュタルトて、妙に響きが医学的で気になりません?たとえば病院に行って「あなたの足はゲシュタルトなんちゃらですね。」とか言われたら「うぁー」って思います。そんなんないけど。言葉の魔術です。
いや、魔術じゃないよなあ。本当にそんなことがあるのか?っていうかゲシュタルト崩壊ってなによ?
というわけで早速しらべてみました。
ゲシュタルト心理学(wiki)
ゲシュタルト心理学 知覚研究から、心を探る
「ゲシュタルト」というなんだか妙に魅惑的な響き。戦車とかの名前でこんなのありそうですが、実のところは「集合体」「構造」という意味だそうです。
うじゃうじゃありんこが集まっている集合体とはワケが違います。
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たとえばこれは、記号を集めただけの意味のない集合です。コレを見た時点では「ハがある」「トがある」いう認知くらいしかできません。もっとも職人レベルだとコレを見てなにになるかわかるかもしれませんが、普通はこの状態に何の意味も感じません。しかしここに空間と改行を加えると、
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はい、ぱにぽにだっしゅ!の芹沢茜の出来上がり。
このAA作った人天才ですね!くそうかわいいゼ。主観入ってますが。
このようにAAや絵画、音楽、文字、文章、ひいては人間の体、あらゆる物質、すべて何らかの物体の集合体でなりたっています。完全に単体になるものといえば原子くらいです。いや、原子もさらに細かくわけれるのか??
どんなものもこのように、意味のある並び方をした集合体「ゲシュタルト」を持っています。といってもそこに「意味」を感じるのは人間の知覚がそれを「この並び方って意味があるんじゃね?」と、経験や知識から感じ取るからです。
ゲシュタルト心理学というのは、心の部分的な事を取り上げて研究するやり方では、心を把握できない。という理念に基づいた考え方だそうです。
AAがそれを非常によく表現しているなあ、と思うのは、以下の面で非常に計算されているから。
ゲシュタルトの法則
・近接の要因
・・・ ・・・ ・・・
こうすると、9つの点ではなく3本の点線に見えます。
・類同の要因
□■■□□■■□□■
こうすると黒黒・白白に見えますが、実際は白黒、黒白です。
・よい連続の要因、閉合の要因| ,--、 | l/⌒ | ̄ ヽ |)))))`i |゚ー゚人ノ このアホ毛使えそう ⊂i) |:ゝ |,i実際には連続した線は一つもないのですが、つながっている感覚にとらわれて、これが絵であると感知するようになります。
他にも「共通運命の法則(アニメーションではこれが重要)」「面積法則(絵画や建築で重要)」「対称法則」などがあるそうです。詳しくはリンク先をゼヒ。
- 文字に見るゲシュタルトと、そして崩壊。
これを読んでみてください。
・・・ん??
ひっかかった orz
ゲシュタルトの法則を利用したトリックです。分かる人は一発で分かるでしょうし、分からない人はずっと分からないかもしれません。文字や文章は人間が「ゲシュタルトの法則」を瞬間的に感じるからできるものです。
昔トリビアでこんなのやってたことありましたね。
を
→水溜りに足を入れている人。
ぷ。
→ボーリング。
そういわれるともうそうしか見えなくなるマジック。
逆に言えばふとした瞬間に簡単に崩れる、不安定な橋でもあります。
崩壊flash
個人差があるので一概には言えないですが、たとえば
借
の字はじーーーっと見ていると「あれ?こんな字だっけ?」となりやすいようです。
漢字の書き取りとか何度もやっていると、だんだん「こんな字だっけ?」率はあがりますよね。これを「ゲシュタルト崩壊」と言います。
ゲシュタルト崩壊と漢字の書き取り
「そういえば/らってゆう/ひらがなは/あやしいよな」
「いっぱいかいてくと/どんどん不安に/なってくんだもん」
〔周りに、らららら……とたくさんの文字〕
「うわーっ/らってほんとに/こんな字だったっけ」
「やなやつだぜ」
内田春菊『幻想の普通少女1』
ひらがなは丸みを帯びている上に、他の物体に似ている形のものが連想しやすいので、ゲシュタルト崩壊しやすいのかもしれません。また表意語である漢字は、その文字単体に意味があるものの、分解しやすいので同じようにゲシュタルト崩壊しやすいです。
「ゲシュタルト崩壊」はこのように多くの人が文字で体験しやすいとして使われる言葉ですが、もちろんそれ以外の場面でも発生します。音楽をループして聴いたときや鮮やかな絵を見続けたときも同じような状況になります。
写真ではなりにくいですが、じーっとイラストなどを見ていると「あれ、この線はなんだか・・・」ってなります。
- 自己の認知の出来なくなるほどの、精神の崩壊
思春期は、自己がちょっとずつ芽生えて「自分ってなんだろう?」と感じる時期。そういう時にはゲシュタルト崩壊が非常に起きやすくなります。さっきの「らららら」なんかもそうでしょう。学生時代の漢字書き取りの時にゲシュタルト崩壊した人多いのではないでしょうか。
また、大人になればなるほど経験が増えるので、記号を何かと読み取る可能性が高くなることも考えられます。そうするとゲシュタルト崩壊ってよりは勝手に「これって○○っぽくない?」と感じやすくなるかもしれません。
とはいえ、それは実生活ではさほど問題はありません。
しかし、個が気になりすぎて全体を見れなくなってきたり、その境界線が曖昧になってくると話は別です。文字を見ても文字に見えなかったり、絵を見ても絵に見えなかったり。しまいには自分を鏡で見ても自分だと認識できなかったり。
ところで、最初にあげたうわさ話はどちらかというとこれかな?なんて思いました。
統合失調症 schizophrenia(サイコドクターあばれ旅)
脳の伝達物質の異常が原因で起こる病気です。
普段のゲシュタルト崩壊から起きるものではないですが、自我の構造の崩壊ということで記述します。(追記・12月3日)
普通なら、「自分」と「そうでないもの」の区別というのは、考えるまでもないくらい当たり前のことのはず。それは、生物が生きていく上で、もっとも基本的といっていいくらいの区別である。「自分」と「そうでないもの」の間は、目に見えない膜のようなもので隔てられていて、ごっちゃになるということはありえない。
私たちは、自分の手が自分の一部であり、目の前のコップが自分ではないことを知っている。今思い浮かべている考えは果たして自分の考えだろうか、と疑問を持つこともない。ところが、その見えない膜に穴があいて、「自分」と「そうでないもの」が混じってしまったとしたら。
統合失調症の場合、自分が自分を見ている姿が他者と感じ、その他者との境界線が曖昧になることがあるようです。
「自分の考えがもれているんじゃないだろうか?」「誰かに自分の感情や行動をあやつられているのではないか」「ありもしないのにあるように感じてしまう」「自分の行動や考えは誰か別の人のものではないか」などなど。症状はさまざまですが、他者か自分かが曖昧になるのがポイントのようです。
自分が自分である、という境界線はそう簡単に崩れるものではないのですが、それを失うのはふとしたきっかけで、思いもしないところで生じます。「自己暗示なんてかけないヨー」と言いたいところですが、いやいやどうして、生活面でストレスがあったりすると「これは自分じゃない!」「自分はこんなんじゃない!」と「自分」を無意識に拒否することがあります。
それが極度のストレスやトラウマの場合「解離性障害」が起きる場合があります。こちらは統合失調症とはまったく別物なんですが、重度になるとごくごくマレに似たような症状を起こす場合もあるそうです。もしかしたら統合失調症よりも、ストレス下の条件ではトラウマ体験(PTSD、CPTSD) に関連しているさまざまな精神障害で意味・自我の崩壊症状が見られる数の方が多いかもしれません。
人間は普段から日常生活でトラウマなどへの心理的防御手段として「怖くなんかない」「自分のことじゃない」と対抗手段をとっることがあります。この防御機能を「解離」と言います。これ自体は普段から多くの人が経験することがあるみたいです。ほら、窓の外をボーっとみてたりとか、テレビ見ていたはずが何見ていたか忘れていて空白の時間があったとか、そういう経験ってありますよね。あれ。
それがちょっとバランスを崩すと、自分の内部で、自我を見失ったり、自分の体の感覚は別のものと感じるようになったり、という心理構造の崩壊が起きます。障害レベルになったときに「解離性障害」と呼ばれるようになります。中には「これは『怖い』んじゃない、『こ』『わ』『い』なんだ。だから意味は無いものなんだ」という風に考えて、崩壊を起こして心を自己防衛する場合もあるようです。みんながみんなそうだとは限らないですが、一例として。
「個に意識がいってしまい認識力が低下する」というゲシュタルト崩壊が、それら二つの病気の人の症状と同じものになるわけではありません。それが、自分に対しても意識が行き過ぎてわからなくなり、自分ってなんだっけ?となり障害にまでなる場合は、自我の崩壊と言えるかもしれません。
特に「止まっているものに起きやすい」そうなので、症状を持っているときにじっと鏡を見ているなんていうのはなんとも発生しやすいシチュエーションでしょうね。一般的に安定した精神ではほとんど起こらないそうです。
しかしながら。一番目の話は現実味はあまりない(3面鏡だから、とか)んですが、あながち「無い話」じゃないんですね「自己暗示」として。とりあえずそれで病気になることはないにしても、自己暗示は10代は非常にかかりやすいそうなので、うかつにやったらだめです。
(追記・「ゲシュタルト崩壊から病気になる」ということではないことも指摘があったので付け加えておきます。あくまでも病気になるときには、何らかの要因があります。病気のときにゲシュタルト崩壊的に認知力が低下する症状があっても、崩壊=病気ではないと訂正しておきます。12月3日)
参考
L'eclosion
防衛機制(wiki)
解離性障害(wiki)
(追記・情報ありがとうございます!勘違いもあり、かなり修正いれました。色々申し訳ないです。解離性同一性障害はマレなケースで、解離性障害の一部と聞いたので修正しました。12月2日)
ふとエヴァンゲリオンの最終回や映画版を思い出しました。みんなとけちゃうやつ。こういうところでエヴァ持ってくると青臭すぎてこっ恥ずかしいですねほんとでも引用しちゃう好きだから。
でも「僕を他人に見せている形」という表現は非常によく出来ているなあと思いました。自分が記号で、それはほどいていくともともとはまったく別の何かで、それは自分では無くて・・・。そんなシーンがテレビ版の最終回にありました。あれはキャラクターのゲシュタルト崩壊状態だと思います。
自分の形のイメージは鏡で見るのか?他人がいるから理解できるのか?
あの最終回を「いやあ放送事故だったね」と思えれば正常、ふと「あれ?」と感じてどっぷりつかりこんで、自分ひとりでもんもんと考えて寝れなくなったら、ぷちゲシュタルト崩壊。
あ、まあ自分のことなんですけどね。
ゲシュタルト崩壊(形式と意味の乖離)(AFTER SEVEN)
極端な話、知的生命体がすべて滅んだ世界においては「意味」は存在しなくなるのだ。記号が残っても、それをむすびつけて解釈する主体がいなければ、心の働きであるゲシュタルト法則によって心が記号をむすびつけて意味を見出すように働きかける生命体がもういないのだから、あらゆる形式は常にゲシュタルト崩壊状態、すなわちもともとの記号性がそのままむきしになった状態のままでいつづける。
はて、一人でじっと部屋にこもって、誰にも認知されず、体育すわりをしていたらどうなるでしょうか。認識してくれる相手がいなくて自分でも生きているかどうかすらわからなくなってきたらどうなるでしょうか。それが自分じゃないと念じ続けたら・・・だれ?私はだれ?
- ゲシュタルト崩壊自体は誰にでもある。
変わらない日常、変わらない風景。そんな環境で暮らしているとゲシュタルト崩壊は起きやすくなります。
音楽とゲシュタルト崩壊
エロ絵師の憂鬱(白い戯言より)
こういう職業病もゲシュタルト崩壊じゃないカナ?
仕事なんかでも繰り返しばかりになってしまうと、認識力は一気に低下します。
これは意外と気をつけなければいけないことで、自分もそうなってしまう可能性は大です。
もちろん過剰に怖がると逆効果なので、何も考えず「自分は自分」と思えるのが一番ですが、ふと価値基準が曖昧になったり、自分が何をしているのかわからなくなってきたら、「あ、ゲシュなんたらなんてのもあったなあ」くらいに思い出すと、自分の精神状態が理解しやすいかもしれません。それが理解できていて、誰かと話したりするだけで、認知力はどかんと変わったりするものかもしれません。障害になるほどでなければ、至って普通のこと。
日々の認知力低下であったりによって崩壊は生まれますが、精神はもろくあると同時に柔軟なもの。ちょっとしたきっかけで意識はかわるもののようです。
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人間はゲシュタルトを作らないと動けない。どうしてよいかわからないのは,ゲシュタルトを作れないか,もしくは作れても一つだけだからである。健全な人間であれば,ゲシュタルトを自由自在に作ることができる。ゲシュタルト療法は,ゲシュタルトを作れない人にゲシュタルトを創造する場を与えようとするものである。
なるほど。「構造・集団」という意味の方かな?ゲシュタルト心理学も関係あるっぽいですが。
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