たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「うつ病が治らない」と思うことの危険。

  • 今の科学では手が届かない?

(追記・元リンクさまから「スタンスが違う」との指摘がありましたので、修正中です。
 追記2・思うところあってコッチの方に新しくエントリつくりました。)


うつ病の遺伝子は薬が効かないわけを明らかにしますRinRin王国より)
 
なんだか読むと絶望的な記事になっているので「そんなことないよー」と書いておきます。
というか、これをうつ病の人が普通に受け取って、かえって悪化するんじゃ意味がないです。書いた本当のところの意図はわからないですが。

幸いなことに、脳の活動状態を把握するための手段が複数出てきていますので、今は薬物が実際に何に変化を与えているのか、という事が目視で確認出来るようになってきています。多分 … 「症状によって病気を分類する」段階から、「原因によって病気を分類する」段階に進歩するのでしょう。身体の病気の診断が、そのような方向で進歩してきたように。
「A遺伝子の変異が原因になっているので、○薬物は効力を発揮しない」、という判定が事前に行われ、無意味な薬物投与が行われなくなる未来はまだ先だそうです。

うつ状態を発症している人々で、この脳の変異をスクリーニング(より分ける)事によって、医師達は治療薬を処方する際の成功率を改善出来るかもしれません。
(中略)
けれども、私達がそのようなテストを行うようになるのはまだずっと先の事になるだろう、とUniversity of Bathの薬理学者であるSarah・Baileyは主張しています。「その種のpharmacogenomic(薬理ゲノミクス)はが現実のものとはるのはまだ先の話です」、と彼女は語っています。

研究してるけど、今はまだムリだよ。ってことみたいです。
いやー、実際そうなのかもしれないけど、そんな「まだ待ってね」って言われても滅入ってしまいますネ。一応今の薬飲んでおくのも大事だよ、とは付け加えていますが、「きかないよー」って言われちゃうと、うつの人は絶望っすヨ。
そんなわけで、このままじゃスッキリしないので、そんなに科学的に詳しい事情はわかりませんが、とりあえずすこし自分なりにまとめてみます。

  • 効かないかもしれないと治らないかもしれないは別。

まず、うつ病「病気」であることは事実をして抑えておきます。
次に、風邪や怪我と同じ「人体の科学的要素」で治ることに加えて「心理面での回復」も同時進行であることをおさえておきます。まさに病は気から。脳内物質を物理的に操作してどうこうなるのもではない部分、という感じです。
 
あくまでも科学的な話として、「特効薬」はないはず。
しかしそれはどの病気においても同じことですよネ。これを飲めば治る、なんて病気自体ありませんよネ。風邪であっても、たいていこの症状にはこれがきく、というのが出されますが、それが100発100中ではないわけです。
(もちろん、近年の研究によってかなり「症状を抑える」「免疫機構を整える」働きの確率は増加しています)
 
うつ病も「うつ病」というひとつの病気でなりたっているわけではありません。種々様々な形がありますし、脳の仕組みで言えば千差万別。遺伝子性の人もいます。
んじゃそれに「この薬がきく」というのはあるかというと、どんぴしゃなものなんてあるワケがないです。
しかし、「いくらかその可能性があって、かつデメリットがない」ものはたくさんあります。
この記事では「あれはきかないかもしれない」「セロトニンだけでどうこうなるものではないかもしれない」と書かれています。その文字だけ読むと絶望してしまいますが、逆に言えば「そこに可能性のある人も非常に多い」のですヨ。

医師達は現時点では SSRI(注釈・選択的セロトニン再吸収阻害剤。脳内のセロトニンを増やして心を安定させる働きを持つといわれるもの)を処方し続けるべきだ、と彼女は付け加えています。「SSRIは病気の全般的な治療には非常に有効なものです」

セロトニンを増やせば治るとは言い切れない、と書かれてはいますが、ここを一番ピックアップするべきだと思いました。もしかしたら効くかもしれない、は、十分処方するに足りえるということデス。
 
いやね、なんでこんなに力説するかってーと、徐々によくなっている人たちに多く出会っているからです。医者に通って治療をうけて薬を飲むことは、間違いなく治る一歩だと思うのですよ。
この記事の本当にいいたいのは「治らない可能性もあるんだよー?」ってことじゃないと思うので、好意に解釈して「治るためには」をメモ書きしてみます。気づき次第そのうちまたメモメモしていきます。

  • 治療を受けることは決してムダじゃない

「現在のうつ病治療」はムダじゃない、と言いたい要素をちょっとあげてみます。
1、「病気であることを認める」のが治療の第一歩。
どうせ薬きかないから、とか、オレは病気なんかじゃない、とか言っていると治りません。風邪と同様に「治る病気」だと認めることが第一歩。といっても、うつ病って認めたくないものですよね、なかなか。でもそこを何年かけてでも乗り越えないと、心は回復をはじめません。
ほんとリラクゼーション気分でいい。気軽に病院に行くことは非常に重要だと思います。
  
2、定期的に病院に通うことは生活リズムにもなる。
うつ病の症状に「けだるさ」や「不眠」がよくありますが、定期的に医師に会うだけで週単位のリズムを作ることができます。「行く」という行為が体の体調を整え、体調が整えば脳が薬やカウンセリングを受け入れやすくなります。
だから、医者選びは本当に慎重に。あわないと思ったらすぐ変えることや、複数かかってみることも参考になるはず。あとは精神神経科は評価サイトが多いので参考にするのもいいです。
メンタルヘルスネット
病院の通信簿
口コミ情報などものっているので、是非参考に。
 
3、薬は勝手にやめちゃいけない。
ここであげられている星新一の小説のように「なんとなくきくから」であれもこれも飲むのは危険。
自分で判断して飲みすぎるのは注意です。
しかし、医者で出される薬は、かなり長期的なスパンで見ながら、最良のもの、病状にあうものを探していきます。
それがデメリットの少ないものであれば、中毒になるようなものではないです、飲むべき。
時々この記事などを引き合いに出して「どうせ飲んでも飲まなくても変わらない」という人もいますが、決してムダではないだけではなく、きく可能性は十分あるから処方されているので、自己判断ではやめたらだめです。薬飲み続けたら依存症になる、という人もいますが、それはごく一部の強い薬だけなので、処方されている量なら中毒にはなりません。逆に半端にやめるほうが、うつを悪化させる引き金になります。
ちなみに薬に関しても医者選びが重要で「これみんなにきいているから」と処方するような医者はやめるべきです。
 
4、薬は一種類じゃない。
普通は一人の患者に複数の薬を出します。それらが互いに作用しあって体内の分泌されるもののバランスをおしたりひいたりして整えます。時には体内の免疫機構を治すもの(直接脳に働きかけるわけではない)だったり、体質改善効果のある漢方からはじめることで治ることもあります。
脳がすぐに治らないからうつは治らない!ってことはないです。体全部から見直していかないと。
ただし、注意すべきは「完全にデメリットのないものはない」ということ。こればっかりはどうにもならない。
 
5、「いつか治る」と思う気持ちも忘れない。
風邪薬は「風邪を治す薬」ではなくて「風邪をなおす体質をつくる薬」ですよネ。うつの薬も同じく、分泌物をどばっとだす薬ではなく「うつに耐えられる体質をつくる薬」です。
人間みんな不安やうつな状態は持っているけど、それに対抗しうることができるから生きていけます。
しかし、時々不安定になったり、対抗できないこともある、それが一部のうつ病
その支えになるのが薬なので、薬がすべてを治すわけではないです。しかし、支えがあれば、治ります。時間はかかります。
うつ自体が完全消滅はしないかもしれません。しかしうまく付き合っていけるようになります。その「うまく付き合っていく」術を与えるものの一つが薬なので、不安にならず、「あ、支えてくれてんだな」という気持ちももって飲み続けてほしいと思います。

  • 「わかろう」とする気持ちと支え。

「単に神経質になっているだけの人々もいます。また、うつ状態にある人々もいます。そして、その両方に苦しめられている人々もいるのです」

本当にうつになった人の気持ちは、なっていない人にはなかなかわからないものです。
ただ、そういう苦しみを持っている人がいるんだな、ということを知ることと、うつ病に関する様々な事実(今回のような科学的なことから、心理面の問いかけまで)を知っておいて損はないでしょう。
他人ごとではなく、「それらをどのように自分や家族に役立てるか」です。
「これでは治らない」と消去していくのではなく、「だからこうしていくのはどうだろうか」と考えること。
うつ病な人本人はそこまで余裕はまわらないはずなので、家族や知り合いの方はこのような面で支えの一つになってあげてほしいし、
自分もそうなれれば、と思って今回の記事を書きました。かしこ。